「やっぱり肩ロースにしとけばよかった」ケチるな青椒肉絲
ご飯が美味しそうに見える映画の話は、ときに鉄板会話だったりもする。
映画『スタンドバイミー』の中で、パイの大食い選手権のシーンがある。
幼少期、兄が見ていたスタンドバイミーを見ようとしたら、母から「ここからは後ろをむきな!」と必死に止められた。
止められると見たくなるのが人間、見てしまった。
小さい頃はとにかく車に乗ればゲロゲロと吐くのが止まらない子供だった。
それもあって、母は私にあのパイのシーンを見せない方がいいと思ったのだろう。
しかし、幼い頃の嫌なシーンはいつまでも頭に残るもの。
これを気に、なんとなくブルーベリーパイは焼きたてじゃないと食べる気になれない。
『マイ ブルーベリー ナイツ』ノラ・ジョーンズとジュードロウの甘くてなんともたまらない風景を見て、一瞬好きになりそうだったけどやっぱり映画を見終われば、あまり食べる気にはなれない。あの映画はまやかしだ。
話は変わって、青椒肉絲が食べたくなって作ってみた。
スーパーに行って牛肉を物色していたのだが、「しゃぶしゃぶ用おとく!牛のコマ切れ」という文字が目に飛び込んできて、値段を見るとすこぶる安かった。
お財布が寂しい私は、友人達に文句を言われることも想定したけど、コマ切れを使っても、牛の肩ロースを使っても上手ければ変わりないだろう、そう踏んで即効でコマ切れ肉を購入した。
これが、失敗の元となる。
【食感の大事さがわかっただろ?青椒肉絲は牛の肩ロースでないと駄目なんだ】
■材料
牛のコマ切れ 350
片栗粉 少々
ピーマン 1袋
たけのこの水煮 1袋
ごま油 大さじ1
ニンニク 1片
生姜 1片
酒 大さじ2
醤油 小さじ1
オイスターソース 大さじ2
ウェイパアー 小さじ1
塩・黒こしょう 少々
■作り方
1.ニンニク、生姜を細切りしてごま油で炒め香りがでてきたら、片栗粉をまぶした牛肉も炒める。
2.色が変わってきたらタケノコ、ピーマンを炒め、火が通ったら全ての調味料を加えさっと炒めれば完成!
ここで、抑えておきたいのが、先ほどから何度も言う「コマ切れ」。これは、どんなに牛でも安くても青椒肉絲には使ってはいけない。
とにかく牛丼のカスか?というくらい姿形の存在感がなくなる。ましてやこれに片栗粉をまぶすとなると、「お肉が柔らかいんだよ」以前に、べちゃべちゃになる。
細切りにした歯ごたえのある牛肩ロース。この切り方と食感にこそ青椒肉絲の中で存在を引き立たせる意味がある。
味は美味しかったけど、やっぱり牛肉の肩ロースを使うべきだったんだ。
世の中には、「あえて」しなくていい、見なくていいものがまだまだたくさんある。